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第二十四回 昇天              Ascensio     

昇天は神さまの力によって神さまのもとにいるようになることである。

■ 人間は自分の力で神さまに達することはできない。旧約聖書のエピソードの一つがこれを教えている。
  バベルの塔の物語(創世記11章1〜9節)
        
■ 神さまから引き上げられた旧約の人物には、エノクあるいはエリヤがいる。
  創世記5章21〜24節 エノク
  列王記下2章1〜18節 エリヤ

■ イエスの昇天
  イエスの昇天は、新約聖書のマルコ福音書16章19〜20節、ルカ福音書24章50節、使徒言行録1章6〜11節に記されている。昇天の出来事は、復活したイエスが栄光の状態(神さまの姿)にあること、この世での肉体をもった姿での活動を終え、今度は人間の助け手である聖霊を送ること、そしてイエスご自身が再び来ること(再臨=parousia)を弟子たちに知らせるものであった。
  教会は聖書の記述にしたがって、復活祭の40日目、すなわち復活節第6木曜日に昇天祭を祝う。この日が国家の祝日でない諸国においては、教会暦の昇天祭は復活節第7主日に移動する。復活祭の日付が毎年移動するのに伴い、昇天祭も毎年異なった日に祝われることになる。

■ 足跡
  現在のイスラエル、エルサレムのオリーブ山には、イエスの昇天を記念する場所が設けられ、イエスの昇天する際の足跡?といわれるくぼみが残っている。歴史的な信憑性はともかく、イエスが歴史の中で、地上で実際に生活したことを体験させる巡礼地となっている。神の子であるイエスにとって、昇天はご自身の力で栄光のうちに実現された業であるということもできる。

■ 神さまの栄光
  「栄光」ということばは、神さまについて言う場合、神さまご自身と考えても、また被造物に神さまを感じさせる何かと考えても良い。「聖」「光」「力」「命」などで表現されることもある。

■ 表現
  昇天についての聖書の記述から、キリストの昇天は多くの図像に表現されている。キリストの再臨を告げた二人の白い衣を着た天使、子を迎える父なる神、キリストの足台となる雲、そして弟子たちなどがみられ、栄光のキリストの姿が表現されている。