年間第11主日

マタイによる福音 9・36〜10・8
2005年6月12日


昔、一人の若い木こりがいました。
ある日、彼は気を切って降りてくる途中で、身分の高い人の輿が通り過ぎるのに出会いました。 もともとは背負子を降ろして、その場にひれ伏さなければいけないのに性格の素朴な彼はただ胸をはって立っていました。すると、百叩きに合いました。
頭に来たこの青年は、自分も官職について身分の高い人になろうと決心しました。
これを聞いた、ある意地悪な人が都に上って、とにかく三年間ごろごろ転がっていれば官職につくことができると言いました。
彼は都に行き、むしろを巻いて町中をごろごろごろごろ転がり続けました。この変な男のうわさは帝の耳に入り、ことの真実を確かめようと帝はある日の晩、こっそりと男のところを訪ねました。
「お前が、三年転がれば官職につけると言っている者か?」
「そうだ。世の中、身分の高い者ばかりが権威を振るっているから俺も官職について対抗しようと思う。」
「そうか。では、どんな官職につきたいのだ?」
「代官かなあ? 何でも良い。」
「判事はどうだ? あれもいいぞ。」
「大臣はどうだ? 大臣もなかなか
「それじゃ、帝になるのはどうだ?」
これを聞いた男は腹を立てて起き上がって言いました。
「何だと?」
「帝になるのはどうかと聞いたんだ。」
「お帝様はお一人しかいないのに、お前は何様のつもりでそんなことを言うのか?」
男は帝を投げ飛ばしました。周りにいた人々はびっくりして、「こいつはこの方をどなたと思ってそんな事をするのか?」と言いながら男を捕らえて縛り付けました。しかし、帝は男を罰しようとはせず逆に彼に官職を与え、彼は後日、国務長官にまで上り詰めることができたそうです。

今日の福音はイエス様が十二人の弟子を呼び寄せるお話です。
十二人の弟子たちは、学歴面の面にも、職業の面にも決して恵まれた人々ではありませんでした。なぜこのような人々を呼び寄せたのでしょうか? それは御自分に対する忠誠心を見られたからです。私たちはみな選ばれたイエス様の弟子たちです。
弟子たちとは、この世に向かって夢と希望を植えていく人々です。イエス様のお言葉のように現代はこのような人々がより必要な時代となっています。主に対する忠誠心で武装し主の能力を受けた弟子らしく世の中に向かって夢と希望を植えていくようにしましょう。

アーメン

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