前回へ
目次にもどる
次回へ

第七回 シンボル   色が表す意味

■ 聖書の中にも祭服の色についての記述が見られる(出エジプト記28章1節〜35節。アロンの家系に属する祭司に対する指示)。典礼の色は直接その根拠を聖書にもっているわけではないが、歴史的に宗教祭儀のためにさまざまな色が用いられ、理解されてきた。

■ 十字架の聖ヨハネ(16世紀・スペイン)によれば対神徳は以下の色で表される。
信仰…白   希望…緑   愛…赤

■ 聖ヒエロニムス(4世紀〜5世紀・ベトレヘムで聖書をラテン語に訳した〔ブルガタ訳〕)は色を世界の構成要素を象徴すると解釈した。宇宙的祈り、あるいは万物を巻き込む祈りを表していると考える。
地…白  水…緋色  空…紫  火…赤

■ イノセント三世(12世紀末から13世紀初めにかけての教皇)は神学的解釈を行っている。
赤…人を照らし熱く奮い立たせる教義  緋色…右にも左にも逸れない王の尊厳
白…良い証、模範となる良い評判  橙…良心の静けさ

■ 教会の典礼祭儀における色は12世紀頃から公に用いられたはじめたという。教父オノリウスは7色を挙げてその意味を説明している。
白…貞潔  赤…愛   緑…信仰  青…希望  黒…謙遜  灰色…慎み  黄…知恵

■ 現在のラテン教会における典礼色は、「祝われる信仰の神秘の特徴や典礼暦年の流れにおいて進展していくキリスト教生活の意味を外面的にも効果的に表すことを目的としている」(ミサ総則307)。原則として以下のように用いられている。

- 白…復活節と降誕節、受難の日以外のキリストの祝日と祭日、聖母マリア・天使・殉教者でない聖人の祝日と祭日、諸聖人(11月1日)、洗礼者ヨハネの誕生(6月24日)、聖ヨハネ福音記者(12月27日)、聖ペトロの使徒座(2月22日)、聖パウロの回心(1月25日)。
- 赤…受難の主日(枝の主日)と聖金曜日、聖霊降臨、キリストの受難の諸祝日、使徒及び福音記者の帰天日、そして殉教者の諸祝日。
- 緑…年間
- 紫…待降節と四旬節。また悔い改めや回心の儀式で用いる。死者のためのミサにも用いることができる。
- 黒…死者のためのミサで用いることができる。
- ばら色(薄紅色)…待降節第3主日および四旬節第4主日に用いることができる。