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 第三回 ルカによる降誕物語

主の奉献

「主の奉献」
Calvaire de TRONOEN (Bretagne)

 教会暦 
 3月25日 お告げ(受胎告知)の祭日…ノエルの9ヶ月前。(胎児の期間を象徴)
 5月31日 聖母のエリザベト訪問記念日
12月25日 ノエル(キリスト降誕祭)。(誕生日ではない)
 2月 2日 主の奉献…家庭で祈りのときに点すロウソクをこの日のミサで祝福する習慣がある。

 ルカによるイエスの降誕物語(1〜2章)

 
※ロザリオの「喜びの玄義」によってまとめることができる。
■ イエス誕生の予告(天使のお告げ) 1章26節〜38節
マリアへの受胎告知。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」という天使のことばから「天使祝詞」(Ave Maria)の祈りは始まっている。このマリアの受諾を記念して唱えるのが「お告げの祈り」で、天使とマリアの応答がその内容である。朝・昼・晩の教会の鐘に合わせて唱える伝統があり、アンジェラスとよばれる(cf.ミレー「晩鐘」)。
「主があなたと共におられる」とは聖書の一貫したメッセージである。(cf.マタイ1章23節)

■ 聖母のエリザベト訪問(洗礼者ヨハネの母をマリアが訪問) 1章39節〜56節
「あなたは女の中で祝福された方です。胎内のお子さまも祝福されています。」との挨拶は、「天使祝詞」(Ave Maria)の第二の部分にとられている。マリアの讃歌は「マニフィカト」(Magnificat)と呼ばれ、教会の聖務日課では「晩の祈り」で、また重要な讃歌として祝祭のおりなどに歌われる。
ご降誕

■ 主の降誕(イエスの誕生) 2章1節〜21節
馬小屋のようなところで生まれ、飼葉桶に寝かされた幼子イエスの姿はルカの記述に基づいている。旧約のイザヤ書1章3節によると飼葉桶は養い主である神の隠喩にもなっており、クレッシュ(降誕祭の馬小屋飾り)に牛やロバが飾られる理由はここにある。羊飼いへの天使の知らせもルカ固有のもので、ミサの栄光の讃歌(Gloria)や降誕祭の讃歌(Hodie,Christus natus est)も天使のことばからとられている。

■ 主の奉献(モーセの律法の規定による幼子イエスの神殿への奉献) 2章22節〜40節
「聖母の清め」と表現されることもある。ルカの誕生物語中、旧約聖書の引用(出エジプト記13章11節〜16節)はここだけである。旧約の過ぎ越しの記念とイエス自身による新しい過ぎ越しの暗示にもなっている。シメオンの預言はイエスの受難のことを指しており、剣で胸を貫かれた聖母の姿で描かれる。伝統によれば養父ヨセフは大工であったといわれ、ナザレ時代のイエスもそれを習ったであろう。

■ 主の発見(12歳のイエスを見失った両親が神殿で発見) 2章41節〜52節
ユダヤ教では男子は13歳で成人式を迎えるので、12歳は成人前を象徴するらしい。年寄りに囲まれた少年が立派な建物の中で何か語っている構図として絵画になっている。

 ヨハネ福音書にみられるキリスト降誕の記述  1章14節

「言(ことば)は肉となって、わたしたちの間に宿られた。」 incarnation(受肉)の思想。