新年会とバザー

ドベルグ美那子 

 今年最初のセンターの公式行事は1月16日の新年会とバザー。15日からその準備が始まった。
 朝10時にセンターに集合。バザー用の品物をMEPのホールに搬入。よくもこんなに集まったと思うほど多くて重い。衣類・靴・電気器具・日用品・陶器類・小物・人形・本・食品・ワイン…各コーナーの受持ちが商品を分類し値段をつけていく。とにかく売り切れにしたいので、大抵の物が50F以下。1Fのものもある。
 昼食をはさんで会場作り。机を並べ各コーナーを整える。会場入り口にはカフェテリアコーナーと客用テーブルも。どうやら形が整ったのは8時30分、腰をさすりながら解散。
 1月16日。ミサの参加者も多い。ミサの後すぐ新年会の準備にかかる。会場の机に持ちよりの料理が並べられていき、一品出てくるたびに皆胸をときめかす。お椀に盛られたおそばと海老天が現れると感嘆の叫びがもれた。鶏の唐揚が三種もある。ハンバーグ・つくね・ハム・チーズ・おこわ・散らし寿司・五目寿司・おにぎり・サンドイッチ・やきそば・アンコロ餅・カボチャ・キムチ・白菜漬・キシュ・おせち料理の折詰めなどなど、そしてデザートにはいくつもの手作りケーキがある。賑やかな料理の展覧会だ。
 また、会場を引き立てたのは正月用の盛花。大きくて見事な枝振りの重い実を沢山つけた杉に、赤いグミのような実をつけた枝、まだ蕾の細い枝をあしらって大きな白い陶器の壷に投げ入れ、その下を緑の葉で囲み、折り鶴を散らしたもの。先般の暴風雨の際、ムードンの森で折れて落ちていた木の枝を拾い、今日まで大事にセンターで保管しておいたものである。こうなると天災も禍転じて福をもたらし、自然が恵んでくれた新年用の豪華なプレゼントとなった。  Dunoyer師の新年の挨拶につづいて一同乾杯。赤白ワイン・清酒に芋焼酎まである。日仏二人の神父に参加者も日仏混合。時々席を替えては交歓。同じ年頃の子どもたちがキャッキャと幼い歓声をあげて逃げたり追いかけたり。また久し振りに会った子どもたちの背丈はぐんと若竹のように伸びている。
 1時30分、司会者の音頭で一本締め。めでたくお開きとなった。
 階上のバザー会場で各々部署につき2時を待つ。会計用の小銭も配分し用意はできた。もう何人かのお客さんがコーナーを物色している。華やかな日本人形があるせいか、「蚤の市」もデパートのバーゲンセール売り場よりはるかに上級に見える。事実、良質の品物が安価で並んでいるのだ。アクセサリー・スカーフ・風呂敷には絹物やネーム入りのものが多い。カフェテリアコーナーはギャルソンのサービスつき。手作りのケーキと飲み物がセットで5F、コーヒーかショコラが選べる飲み物は何と1F。電源につないだコーヒー沸かしからたちのぼる香り、隣のテーブルで楽しむ喫茶とちょっとしたサロン・ド・テである。
 開店の合図と共に各コーナーの売り子たちは張り切って各々の商才を発揮。お客さんの心理をうまくとらえ、巧みに勧める。衣類コーナーも結構な売れ行きで、補充サックから取り出し場所を埋めていく。売り子がまずマヌカン役で着て見せ、やさしく柔らかな言葉で如何にそれがお客さんの個性とマッチしているかを力説する。聞く方はあたかも天使の囁きを耳にした如く、聖なる物欲にかられ、気が付いたときは既に買っているのである。
 売り子もお客、他のコーナーを見に行き、目をつけていたものを買おうとすると、既に売約済み。いっぱい並んでいた電器も日用品もアクセサリーも残品は少ない。予想に反して、新品同様の靴コーナーは案外売れ行きが悪い。サイズが合わないせいだろうか。
 5時。片付けにかかる。残った商品をポリ袋に入れ、センターへ運び入れる。会計担当は奥で5人の立会いのもと売上を計算。純益何と5.992F10。不足を拠出分担して6.000F10にする。無料の品も含め概して安値、おまけに三時間足らずの間に、よくこれだけ収益があったものだ。皆の努力が反映したのだろう。
 くたくたになってセンターへ戻り、各々大きな買い物袋を提げて解散。無事このハードな一日が終わった。

重なりし葉陰に白く寒椿

(センター日誌より)