年間第6主日

マルコによる福音 1・40〜45
2006年2月12日


今日からイエズス会のソン・ボンモ神父さまの書かれた『傷とゆるし』というタイトルのお話を要約してお話いたします。
この世でもっとも大変なこととは何でしょうか。それは、「罪を犯さないこと」と「自分を傷つけた人をゆるすこと」、この二つではないでしょうか。罪を犯さないで暮らすことほど大変なことがあるでしょうか。そして罪を犯さないことぐらいに大変なことはゆるすことです。
ある町にライバル関係にあった二人の商人がいました。二人の店は向かい合わせにありました。彼らは朝目覚めて晩寝るまでどうすれば相手をつぶすことができるかそれだけを考えていました。 それを見かねた神さまがある日天使を一人の商人に遣わしました。
二人を仲直りさせようと天使は次のような提案をしました。
「神さまがあなたに大きな贈り物をくださるでしょう。あなたが財宝を望めば財宝を、長寿を望めば長寿を、子どもを望めば子どもをくださるでしょう。ただし一つだけ条件があります。それはあなたが何を望もうとも、あなたのライバルはその二倍を手に入れることになると言うことです。あなたが金貨10枚を望めば彼は金貨20枚を手に入れることになるでしょう。」
天使は続けて言いました。「もう仲直りしなさい。神さまはこうしてあなたに教訓を授けようとなさっておられるのです。」
天使のことばを聞いた商人がしばらく考えてから、「私が何を望んでもすべて叶えてくださると言うのですね。」と聞くと、天使はそうだと言いました。
商人は大きく息を吸って決心したようにこう言いました。
「では、片方の目を見えないようにしてください。」

このようにゆるすというのは簡単なことではありません。 自分を絶えず傷つける人、自分を恨み苦しめる人をゆるすことは決して簡単ことではありません。
ゆるせないと言うことは心がせまくなっているということです。
ゆるせないと言うことは心がかたくなっているということです。
傷つけられることによって心がせまくなってしまったのです。
ゆるしがどれだけ大変なことであるかと言うことをよく知っていながら、数多くの聖人らがゆるしを強調したのはなぜでしょうか。
それは主の至上命令だからです。
ゆるしはキリスト者が十分に理解して実行しなければならない教えなのです。
イエスが私たちに無条件ゆるしなさいとおっしゃた根拠は、ご自身が私たちを無条件ゆるされたからです。スペインのある修道院のお御堂にある告解室に架けられた十字架のイエスは、右の腕だけが長くなっています。その理由は次の通りです。ずいぶん昔この告解室で一人の信者がとんでもない罪を告白したのですが、この時神父は他の罪は許せてもその罪だけは許せないと言いました。
ところがその時告解室の上に架けられた十字架からイエスの腕が伸びてきて、その信者の罪を無条件ゆるしなさいとの意味で十字を切ったというのです。それからこの十字架のイエスの右腕は長くなってしまったそうです。
イエスが私たちに無条件ゆるしなさいとおっしゃる理由は何ですか。
神の国はゆるしの国であり、神の国はゆるしによって統治されているからです。
今は専門家が尊ばれる時代です。
神の専門はゆるしです。私たちがゆるしの神を尊び、神のゆるしを受けながら生きていくためには、自分たちに過ちを犯した人をゆるすことができなければなりません。
ゆるしの暮らしを生きていくことができるように、このミサの間に神の恵みを求めましょう。

アーメン

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