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第十五回 お告げ  Annuntiation
 Verbum caro factum est et habitavit in nobis.

3月25日 主のお告げ(祭日)

 

「受胎告知」
Calvaire de TRONOEN (Bretagne)

 

■ 聖書にはたびたび、神さまのメッセージが人に告げられる「お告げ」の場面が記されている。その際、使者の役割を果たすのが天使(angelus)である。天使は「神の使い」「神の人」などともいわれ「知らせ」の意味でもある。

旧約 「ギデオンへのお告げ」(師士記6章11〜24節)
    「サムソン誕生の予告」(師士記13章2〜7節)
新約 「洗礼者ヨハネ誕生の予告」(ルカ1章5〜20節)
    「コルネリウスへのお告げ」(使徒言行録10章1〜8節)  など

しかし一般に「お告げ」とは、「主のお告げ」といわれる「聖母マリアへのイエス誕生の予告」(ルカ1章26〜38節)のことを指す。

■ ガブリエル…三大天使の一人(?)で「神の人」の意。旧約聖書ではダニエル書(8章15〜27節・9章21〜27節)に登場する。新約ではザカリアへの「洗礼者ヨハネ誕生の予告」と聖母マリアへの「イエス誕生の予告」で神のメッセージを告げている。

■ アンジェラス(Angelus)…アンジェラスという言葉には二つの意味がある。(cf.ミレー「晩鐘」)
 - 神であるキリストが人間になられたこと、またその「お告げ」の出来事を記念して、キリスト信者が毎日朝・昼・晩にとなえる「お告げの祈り」。(ラテン語で “Angelus Domini nuntiavit Mariae,,,” という言葉で始まるため。この祈りを唱える間は仕事中でも手を休める。)
 - 上記の祈りを唱える時刻にならす教会の鐘。

■ロザリオの第一の玄義…キリストとマリアの15の神秘(喜び・苦しみ・栄え)を黙想するロザリオの祈りの第一に位置するのが「主のお告げ」である。喜びの第一玄義ともいわれる。

■パリ市内のお告げ記念聖堂…Chapelle de L’Annonciation (8e)

■ 美術作品に描かれる「お告げ」
日本語では「受胎告知」「聖告」と訳してあることもある。製作者の意向でさまざまに意味付けられた作品を見ることができるが、聖書的要素としては 大天使ガブリエル、 聖母マリア、 聖霊のシンボル(多くの場合鳩)、によって構成される。

■付記…歴史的な「お告げ」の舞台は北イスラエル、ガリラヤのナザレ。「お告げ」の現場といわれる洞窟の上には現在、中東で最大といわれるの記念聖堂が建てられている。